BIOGRAPHY
López-Nussa "La Familia"
Harold López-Nussa / アロルド・ロペス・ヌッサ(ピアノ、キーボード)
Ruy Adrián López-Nussa / ルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサ(ドラムス)
Ernan López-Nussa / エルナン・ロペス・ヌッサ(ピアノ)
Ruy López-Nussa / ルイ・ロペス・ヌッサ(ドラムス)
Mayquel González / マイケル・ゴンザレス(トランペット)
Julio Cesar González /フリオ・セサール・ゴンザレス(ベース)
凄ざましい躍動感と哀愁を秘めた音楽で世界に衝撃を与えているキューバン ジャズ グループがいる。
今年の5月、ワシントンDCで開催された The Artes de Cuba Festivalで大喝采を浴び、ビルボード誌が "これまでない新しい形のジャズ、一見に値する" と絶賛したロペス ヌッサ ラ ファミリアだ。
新しい形、とはピアノ 2セット, ドラム•パーカッション 2セットにベースとトランペットのユニークな編成。しかも親子、兄弟、幼馴染の連携プレイだ。彼らの音楽は "ジャズはどうも"、と尻込みする音楽ファンも虜にする。キューバン ジャズだが、ジャズを超える不思議な感動を誰にも与えてきた。
彼らはただの音楽一家ではないのだ。
このファミリアの歴史は興味深い。
1950年代、キューバ音楽の原点であるソンとアメリカからきたジャズが融合され、キューバン ジャズが生まれた時代にフランスから渡ってきた祖父母がこの音楽一家の原点である。祖父は画家。ピアノの名手であった祖母はジャズにのめり込み、革命を達成したフィデル•カストロに共鳴して永住を決める。
キューバ革命後の混沌とした時代に、彼らの息子たちはジャズとともに育つ。
長男のルイ ロペス ヌッサ(アロルドの父親)。ハバナ音楽アカデミーでドラム学を指導しながら、自らのバンド La Academia を主宰する今も現役のドラマーだ。彼のキューバン ジャズの歴史造詣には感嘆させられる。
次男、エルナン ロペス ヌッサ (アロルドの叔父)はキューバ ピアノ界の重鎮になった。母親の血を継いでピアノに才能を咲かせ、若い頃はチューチョ バルデス等とともに世界を駆け巡り腕を磨く。かって、日本でも人気を呼んだ異才である。
そしてアロルドとルイの兄弟。
アロルド(ピアノ)は、幼少時代からクラシックを学び、転じてジャズに。2015 年スイス モントルー ジャズ フェスティバルのピアノソロ部門で優勝、一躍世界に翔びだす。弟のルイを従えて、アロルド ロペス ヌッサ トリオを結成して現在、世界を転戦している。
日本での活躍もめざましい。
彼らはここ5年間、コットン クラブの常連アーティスト。東京ジャズフェスティバルでは5,000人からスタンディング オーベンションを獲り、定禅寺ストリート ジャズでも観衆を熱狂させてきた。キューバン ハリケーンと呼ばれる由縁である。
弟のルイ アドリアーノ(ドラム•パーカッション)はドラム奏者に厳しい評価をする寺島靖国氏をして" 天才だ"、と言わしめた逸材。まだ若い彼の迫力がこのトリオ成功の鍵と言っても過言ではない。ルイが叩き出す音には誰もが圧倒される。
このロペス ヌッサ一家と共演するのは、彼らと幼少時代から共に修練を積んだフリオ セサール ゴンザレス (ベース) とトランペット/ボーカルのマイケル ゴンザレス。軽快なフリオのベースとマイルス デイビスを彷彿させるマイケルの演奏は一家の演奏に華を添える。
キューバが生んだベテラン奏者と若手実力派の共演。彼らは3世代にわたるキューバン ジャズの歴史を背負い、そして伝承する。このロペス ヌッサ一家の音楽を日本に紹介することが、この企画の目的である。